財政投融資で用いられる資金。

財政投融資で用いられる資金は、郵便貯金や年金積立金など、国民からある一定の保有期間預かり、期限が来れば元本だけでなく相応の利子をつけて返さなければならないお金である。

この点で、元利を返済する必要がない税金と異なる。そのため、財政投融資の収入は「原資」と呼ばれる。元利を返済するためには、預かった資金を確実かつ有利に運用して回収しなければならない。

そのため、一旦支出すれば回収する必要のない一般会計の歳出と異なり、財政投融資の支出は「運用」と呼ばれる。具体例で言えば、税金を財源として建設した国道は即座に無料で提供できるが、日本道路公団が財政投融資の資金を財源として建設した高速道路では、元利返済のため通行料を徴収する。この通行料はまず、財政投融資を通じて公団等が借りたお金の返済に充てられる。財政投融資の原資は、財政融資資金(二〇〇〇年度まで資金運用部資金)、産業投資特別会計、政府保証債(後で説明)からなっている。

ただし、図を簡略化するため財政融資資金だけを表記している。わずかだが、郵便貯金や簡保積立金から(財政融資資金を通さずに)直接地方自治体に貸すものが、財政投融資計画に含まれる。これらの原資は、それぞれが独立した制度で運営されているが、一般会計予算などの他の財政金融政策との整合性を図るため、財務省(旧大蔵省)理財局が総合的に調整し、財政投融資計画を策定している。

 

そして、国会に提出される。財政投融資は、こうした背景から、「第二の予算」とも呼ばれる。財政投融資の原資の約八〇%を占める財政融資資金は、自前の資金源を持っているわけではない。財政融資資金は、基本的に財投債という国債を発行して、郵便貯金や年金積立金や簡保積立金や民間の金融機関からお金を借りている。

そして、そのお金を、財政融資資金は、国会での審議を経た財政投融資計画に従って、特殊法人や地方自治体などに貸しているのである。財政投融資のお金を借りている特殊法人や地方自治体などを、財政投融資対象機関(略して財投機関)ともいう。私達国民が、郵便貯金や年金積立金などの形で一旦郵便局や社会保険庁(年金を管轄する役所)に預けたお金は、結局、郵便局や社会保険庁からさらに財政融資資金に貸し出され、その上財政融資資金から特殊法人や地方自治体などに貸し出されているのである。おまけに、特殊法人や地方自治体から、さらに別の子会社や地方の第三セクターなどに貸し出されたりする。

又貸しに次ぐ又貸しである。これでは、私たちの大切な郵便貯金や年金積立金がどこに行ったか、きちんと見守っていないととんでもないことになりかねない。又貸しに次ぐ又貸しの先で、とんでもない使い込みをして借金を踏み倒しているかもしれない。財政投融資計画は、前に述べたように、国会の審議を経ている。

だから、国民が委ねた代表者たる国会議員のセンセイは、きちんとそのお金の行方を見守ってくれているから大丈夫!といえればいいのだが、残念ながら、国会議員のセンセイの中でもきちんと財政投融資制度を理解している人は多くない(その証拠はこの後で紹介する)。

だから、国会議員のセンセイでも、まさか又貸しに次ぐ又貸しの先で借金が踏み倒されているとは、想像したこともないのだ。国政の重責を担う多くの国会議員のセンセイよりも、象牙の塔にこもっている大学の財政学の先生の方が、まだよく理解しているという悲しい状況である。

ところが、近年になって、特殊法人で借金を踏み倒しかねないほど放漫経営をしているところが明るみに出た。有名な例は、本州四国連絡橋公団である。本州と四国の間に三つのルートで橋をかけ、通行料を取って経営している。

しかし、利用者がそれほど多くないにもかかわらず、財政投融資で借りた巨額のお金を工事代に注ぎ込み、その借金を返すために当てにしていた通行料収入が思うように入らない。借金は返せないまま利払いがかさみ、まさに雪だるま式に負担が増えた。当然ながら、債務超過状態に陥っている。民間企業なら、取引先から嫌われ、倒産に追い込まれるほどである。しかし、本州四国連絡橋公団はいまだに倒産していない。

というより、倒産させられないのである。なにせ、日本の法律には、特殊法人などの公的機関が「倒産」するという定義がどこにも書かれていないのである。特殊法人がどういう状態になったら「倒産」かを決めていない以上、特殊法人が倒産するという状態はわが国において存在しないから、「倒産」していないだけである。そんな間に、借金は雪だるま式に増えて債務超過額もどんどん増えており、意図しているかいないかにかかわらず、問題解決は先送りにされている。

放漫経営の疑惑がもたれている特殊法人は、他にもあって、続々と明らかにされている。このままではまずい。放漫経営をしている特殊法人は、もはやこれ以上許せない。そうした声が高まるにつれ、小泉内閣になって、ついに特殊法人改革に着手したのである。

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