空売りとは?

買いという概念とは異なり、ほとんどの人にとって空売りという概念は非常に抽象的で、ちょっと分かりにくい。買いであるときには、買いの対象である物を所有か支配しているということを意味する。

一方、空売りはこの正反対だ。何かを持っているのではなく、利益を上げるために必要になる物を所有も支配もして「いない」状態であり、将来のある時点でそれを買い戻す必要があるということを意味する。

次に空売りの意味が分かる例をいくつか述べよう。

●私がドライブをする計画を立てていて、車の燃料計を見るとガソリンタンクが空だったとする。ドライブに必要なガソリンがないので、私はガソリンの小売市場に対して売りポジションの状態にあると考えられる。私が売りポジションの状態である理由は、自分が持っていない物を買うか使えるようにするために、市場に行く必要に迫られた瞬間に、同時に価格変動という経済的リスクにもさらされるからだ。私がガソリンを買うか、それとも実際に手に入れる前に必要なガソリン代の価格を固定する方法を見つけるまでは、売りポジションの状態が続く。

●スペキュレーターとして先物かオプションの売り方としてトレードを始めれば、売りポジションを意図的に取ったことになる。ここが売りのつまずきやすいところだ。スペキュレーターとして先物かオプションの売り方になるとき、実際には自分が持っていない物を売っているからだ。

こんなことをしようと考える理由は、価格が下げそうだと思われる状況を利用するためだ。

つまり、何かを高値で売って、将来のある時点で売った価格よりも安く買い戻せば、差額が利益になると考えているのだ。あなたは今、自分が持っていない物をどうやって売るのか、と考えているかもしれない。

また、そもそも持ってもいない物をなぜ買い戻す必要があるのか、とも思っているかもしれない。先物やオプションは、トレードを仕掛けるときに所有も保有もしていないし、自分の自由にできない物を売ることができるように設計されている。例えば、私は金の価格が下げていると判断し、その可能性に賭けたいとする。一〇〇オンスの金の先物を売るためには、取引ツールでそれに見合うボタンをクリックすればよい。

そのトレードが約定したと確認できたときに、一〇〇オンスの金の売りポジションを取っていることになる。私はこの状況で売りポジションを取っていると考えられる。先物取引の条件に基づけば、売り方になったときには、納会までに買い注文を出して売りポジションを手仕舞わないかぎり、相手方の買い手に一〇〇オンスの金を渡す義務が生じるからだ。

納会前に手仕舞えば、売った結果は金相場の値動きによって損益が生じるだけだ。価格が下がったら、トレード相手の取引口座から清算機関を通じて、自分の取引口座にお金が振り込まれる。反対に価格が上がったら、自分の取引口座から清算機関を通じて、相手の取引口座にお金が振り込まれる。あるいは、どんな理由であれ納会までに手仕舞わないと、契約を履行する義務が生じる。

つまり、この場合なら、金の現物市場に行って、一〇〇オンスの金を買い、買い方にそれを渡す必要が生じる。どの先物やオプションの売り方になっても、同じことが当てはまる。何かを製造するかサービスを提供する過程で、原材料か商品か製品を使うか、外貨建てで輸出入を行う企業は、意図せずに売りポジションを取っているのと同じ状態になる

最終製品を製造する食品メーカーが、意図せずに穀物や精肉市場に対して売りポジションを取っている状態になるのは、小麦やコーン、大豆、砂糖、牛、豚などを絶えず買う必要があるからだ。トラック運送会社、鉄道会社、航空会社のような輸送業者はガソリンや石油を絶えず買う必要があるので、ガソリンや石油市場に対して意図せずに売りポジションを取っている状態になる。耐久材メーカーは銅、アルミニウム、スチール、金、銀を絶えず買う必要があるので、金属市場に対して意図せずに売りポジションを取っている状態になる。

食品メーカーや運送業者、耐久材メーカーがそれぞれの市場に対して意図せずに売りポジションの状態にあるのは、これで明らかになったと思う。今はこれ以上詳しく説明しない。ただし、輸出入を行う結果、意図せずに市場に対して売りポジションの状態になるというのは少し抽象的なので、一例を示しておこう。

例えば、あなたが日本のソニーから高解像度テレビを輸入する家電用品店チェーンのオーナーだとする。そして、ソニーが販売店向けに特別セールスをしようと決めて、五〇〇〇台のテレビを注文すれば現金払いと同じ条件で一八〇日後に支払えばよいという提案をしたとする。

つまり、商品を受け取って店で販売しても、商品の受け取り後、六カ月間は支払う必要がないのだ。ソニーの唯一の条件は、ドルではなく日本円で支払うということだけだ。要するに、ソニーは一八〇日の延べ払いに対して利息を請求しない。だが、この取引はあなたの不利になる可能性もある。支払時にドルを円に両替するときの為替リスクはすべてあなたが負うからだ。さらに、そのリスクは取引を受け入れた直後から生じる。

なぜならその瞬間から、あなたは円市場に対して売りポジションを取っている状態になるからだ。どうしてか?売りの定義を思いだそう。必要とする物を所有も支配もしていない状態にあり、将来のある時点でそれを買う必要があるという意味だった。テレビを受け取って一八〇日後に、その代金をソニーに払わなければならない。

ただし、自分が持っているドルではなく、持っていない円でだ。実際に円を買うのに困ることはない。取引銀行で簡単に両替できるからだ。問題は支払うべき円をソニーに送る日の為替レートが分からないという点だ。つまり、必要とする円を買うために何ドルかかるか分からないのだ。両替をする時点で、円の価値がドルに対して下がっていたら、必要な円を買うためのドルは少なくて済む。これは確かに良いことだ。販売にかかる経費が下がり、販売利益が増えるからだ。

一方、円の価値がドルに対して上がっていたら、円を買うためのドルが多く必要になって、経費が上がり、利益は減る。そして、最悪のシナリオは円の急騰だ。そうなると、利益がすべて吹き飛ぶかもしれないし、場合によってはその取引で損をすることもある。すでに述べたように、ソニーの提案を受け入れた瞬間、円を売っている状態になる。

さて、売りのままでいても、為替レートが自分の有利有利に動いたら、結局はその取引で利益が増える可能性もある。逆に、為替レートが不利に動いたら、損をする可能性もある。いずれにしろ、銀行で必要な円を買うか、先物かFX市場で円の先物を買って、自分のポジションをヘッジするまでは、投機をしていることになる。あるいは、あけすけに言えばギャンブルをしているのだ。

 

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