国から受け取っていた便益や補助金の方が納めた国税

 

国民が納めた国税は、②だけでなく①にも支出されている。国税が充てられた国直営の行政サービス①が、全都道府県に同じように便益をもたらしたと仮定して、都道府県ごとに、「純便益=①の便益額+当該県の②の補助金受取額−当該県の国税徴収額」を求め、期間中の年平均額(一九九〇年基準)を示したのがこの表である。

表の値がプラスならば、国から受け取っていた便益や補助金の方が納めた国税よりも多く、マイナスならば納めた国税の方が多いことを示す。例えば、北海道の住民は、一九五五~一九九八年度に年平均で二二万九千円だけ納めた国税よりも多く国から受け取っていたことになる。

①の便益額は、当該年度の「国税徴収額全県計−②の補助金全県計」として求めた。

ここで、全県計の差を便益額としている理由は、国直営の行政サービスには、公共経済学で言う「等量消費性(ある人が行政サービスを受けたとしても、他の人々も同じ量だけ行政サービスを受けることができる性質)」があって、その性質がゆえに国が提供した行政サービスは日本のどこに住んでいても同じだけ享受できる、と解釈しているからである。具体例でいえば、防衛費に総額で五兆円支出していれば、日本のどこに住んでいても五兆円分の便益を享受できることを意味している。

ただ、時期によって物価や金利が違うから、違う年度の額を単純に合計して比較することはできない。そこで、物価や金利の変動を調整して、時期が異なっても同じ金銭価値(一九九〇年の物価に換算)で評価できるようにした。

 

例えば一九五五~一九九八年の間で、北海道にずっと住み続けた人は年平均で一人二二万九千円分の便益を国から受けとり、東京にずっと住み続けた人は年平均で一人七一万八千円の負担を国から強いられていたことを示している。都市で多く徴収した国税を地方にどんどん補助金でばらまくわが国の財政運営を浮き彫りにしている。

その度合いは、高度成長期よりも安定成長期、さらには一九九〇年代へと時を経るにつれて強くなり、都市の納税者の負担が増し、地方の住民のただ乗りが助長されている(都市部では純便益のマイナスの度合いが大きくなり、地方部ではプラスの額が大きくなっている)。

特に問題なのは、このバブル崩壊後の地域間所得再分配政策である。この時期の一人当たり純便益は、地方部の道県ではむしろ以前よりも増えているのに対して、日本全体で見て人口・経済規模が大きい東京都、愛知県、大阪府で負担がより重くなっている。

それでいて、都市部での経済成長率が低くなって、この時期の景気が低迷した。この時期の国の地域間再分配政策は、景気対策として経済成長を促すこと(効率性)を目標に掲げながら、地域間の公平性をより重視する結果となった。本当に経済成長を促すなら、わが国経済の成長の原動力である都市部の負担軽減、ないしは便益増大を実行すべきだった。このことも、九〇年代の失政の一因といえよう。

おすすめのFX口座
fxsuit

「3すくみスワップ投資法」と呼ばれるトレードテクニックが可能な数少ないFX口座。 海外口座ではあるがFXSuitは条件・保障も良い。海外口座独自の強みを生かせる。

口座開設 公式サイト
おすすめの記事