国鉄清算事業団の悲劇とは?

 

国鉄清算事業団の悲劇結局、特殊法人に注ぎ込んだ出資金で、債務超過のために既に失われたか将来失うと予想されるものが約一〇兆円、債務超過の分が貸倒れとなって、貸した比率に応じて貸し手責任で負担を強いた場合、特殊法人への融資の貸倒損失が約九兆円、地方自治体についての貸倒損失は約三七兆円、合計して約五六兆円が、どういう形であれ国民の負担となる。

しかし、この損失処理をどのような形で行うかについて、小泉内閣はまだ検討していない。ここで、今後不可避であるこの問題に対する望ましい方策を示そう。

重要なことは、不健全な特殊法人・地方自治体に対する不良債権処理に伴う国民負担を、一銭でも少なくするよう努力することである。不必要に国民負担を増やさないためには、処理を一日でも早く行うべきである。

特に、旧国鉄を反面教師とすべきである。つまり、「清算事業団」なる新たな特殊法人を設けて債務処理を先延ばししてはならない。一九八七年に発足した国鉄清算事業団は、旧国鉄債務を、旧国鉄が所有していた土地(代表例は、日本鉄道の発祥の地、東京・汐留駅周辺の土地)などの資産を売却して返済する予定だった。

しかし、事業団は、一九八七年の民営化時に負った債務約一四兆円を、一九九八年の解散時には約二八兆円に膨らませ、国民の負担を増大させたからである。これには、二つのナンセンスな政治的決定が追い討ちをかけた。

まず、国鉄清算事業団発足時には、事業団が返済しなければならない債務約一四兆円とほぼ同額の資産しか、事業団のために用意しなかったことである。たしかに、債務の元本は土地などを売れば返せる。

しかし、利払いはどうするのか。当時の政治家や官僚はそこがすっかり抜けていた(万一意図的にそうしたとすれば、国民を欺く行為である)。発足初年度から、債務約一四兆円には巨額の利子がつくにもかかわらず、その利払いのための売却用資産はおろか、収入源すらまともに事業団に用意しなかった。

その結果、利払い分の債務が返済できずに雪だるま式に膨らむ結果となった。二つ目のミスは、当時のバブル絶頂期に、政府が国鉄清算事業団に対して、「投機を煽ることになるから、土地を売るな」と決めたことである。国鉄清算事業団の最大の仕事は、資産を売って旧国鉄債務を返済することである。それなのに、売るなと言うのは、仕事をするなと言うのに等しい。

当時の経済学者は、この決定はナンセンスだとして反対を表明したが、政治家や官僚は聞き入れなかった。経済学の知識でいえば、土地の値段は需要(買う量)と供給(売る量)で決まる。地価が上がるという現象は、買いたい人(量)が売る人(量)よりも多く、買う側が高い値段を出してもいいから買いたいといっているから起こる。一九八〇年代後半の地価は、バブルで急騰して社会的な問題にまでなった。地価の急騰を抑制する効果的な方法は、土地を売る量を増やすことである。

買いたい人が欲しいだけの土地が十分にないから、高値になるのである。そこへ、国鉄清算事業団が「土地を売ります」といえば、買いたい人にはそれだけ土地が与えられるわけだから、そんなに無理をしてまで高値で買おうとはしない。買いたい人にとっては、安い値段で買えるに越したことはないからである。

それなのに、事業団は政府の決定で土地を売らせてもらえなかった。それは酷なことである。さらにいえば、政府が事業団に土地を売らせなかったから、投機を煽った(地価がもっと高騰した)といっても過言ではないのである。政府は、土地を売ることが投機を煽ると勘違いして、それを止めさせたために逆に投機を煽ったのである。こんな二の舞は御免被りたい。

おすすめのFX口座
fxsuit

「3すくみスワップ投資法」と呼ばれるトレードテクニックが可能な数少ないFX口座。 海外口座ではあるがFXSuitは条件・保障も良い。海外口座独自の強みを生かせる。

口座開設 公式サイト
おすすめの記事